ari23の研究ノート

メーカ勤務エンジニアの技術ブログです

『業務改善の問題地図』レビュー

職場の業務改善が上手くいかないことばかりで、たまたま見つけた本を読んだらとても参考になりました。

この記事では、レビューと私の備忘録がてら、簡単にまとめたいと思います🐜

『業務改善の問題地図』
『業務改善の問題地図』

総評

タイトルにある通り、業務改善で思うように進まない原因や問題を「地図」に見立てて、整理してくれています。1

業務改善の問題として、以下の6項目(本書では丁目)を挙げてあります。

  1. 問題意識がバラバラ
  2. 無力感
  3. 中間管理職ブロック
  4. ソリュショーンありき
  5. 抵抗勢力
  6. 3日坊主で続かない

上記はすべて目次そのままですが、この単語だけで「そう、それ!」と思う方はとても参考になるかと思います。

各章において、なぜそのような問題が生じるのか、そしてどのように解決すべきか、という構成で書かれています。また、内容はコミカルに書かれているので、とても読みやすいです。

きっと、業務改善Pjを結成して最初の活動として、メンバ全員で読んでおくと、あとの改善活動が円滑に進むのかなと思いました。

参考になった点

以下は、私が読んでいて気になった内容をメモしました。

  • 本に書いてる内容(要約)
    → ari23の所感や考え

の構成で書いています。

組織として勘違いしてること

  • 改善が進まない、定着しない組織は、改善を社員個人の気合や根性に依存しすぎであり、トップが業務改善を叫ぶだけでできると思ったら大間違い
    → 既視感しかない。やりっ放しでできるわけがない。

  • 改善が継続する組織は、業務プロセスに改善を組み込んでいたり、振り返る場を設けていたりする。残業規制などの制度や、管理職研修などの個人スキル強化だけでは、絶対に上手くいかない
    → 普段の業務で上手くいかないことは絶対あるはずなのに、「それが仕事だ」と言って非効率のまま続ける、思考停止している人いますよね。昔は、言われたことをただ黙々とやるのが仕事だったんだろうなぁ。

問題意識がバラバラ

  • 経営者から現場社員まで問題意識がバラバラなので、景色のすり合わせのためにグループワークを行う
    → 研修ではやるけど、言われてみれば現場でやった経験が全くない。今まで上手くいかなかった大きな理由の1つかも。

  • グループワークではファシリテータを置く。出た意見を否定しない、新しい視点を提案して意見を引き出す、暗い雰囲気にしない人がよい
    → こういった会議の司会は部長とか管理職だった。本音が出てこないのは当たり前。

  • やりっぱなしにすると、「どうせまた何も変わらない」と参加者に無力感を与え、二度と本音を言わなくなる
    → あ、うちのことだ。

  • 研究者なら資料作成に時間を追われるよりも、研究に没頭したいと思うのが、個人としては健全でありヘルシーである
    → よかった、自分は健全だった。

  • 浮いた時間で何をするかを考える
    → 残業時間削減をよく目的にしがちだけど、きっとこれ良くない、もしくは不十分。なぜなら、いくらでもごまかすことが出来てしまうから。そして、改善したつもりになると、さらに忙しくなってしまう悪循環に陥る。

無力感

  • 改善活動の進捗常用や情報の共有がないと無力感が加速する
    → 情報がないとやりっ放し感がすごい出てくる。あと、ざっくりのスケジュールすらないとやる気もなくなる。

  • 例えば朝礼や定例会など形骸化している時間に、KPTを取り入れると振り返りの場が形成されるきっかけになるかも

    • K:Keap|やってよかったことや、今後も継続すること
    • P:Problem|問題だと思うことや、「今後は辞めること」
    • T:Try|試してみたいことや、チャレンジすること → これすごく良さそう。特に、一度始めた取り組みを途中で辞めることすら抵抗する輩(特に中間管理職)がいるので、Pは大事。
  • 提案者と実行者を分ける
    → これ大事。提案者=実行者だと、「提案すると仕事増えるから提案しない方がいい」が成立する。提案者を実行者にさせる管理職はなにも考えてないに等しいと思う。

  • 改善活動が定着または定着し始めている企業のトップは、改善の必要性を自分の言葉で語り、その重要性を継続して社員に訴えていて、良い取り組みや率先して改善している社員を激励している
    これがないと、加速度的に無力感が広がる。「改善活動を叫ぶ」とは違う。その意義を語るのが重要。

  • 改善の成果は数値化して評価すべきだか、変化は言語化して評価すべき
    新規事業開発の考え方とほぼ同じ。結局、大きなことを成し遂げようとすると、往々にしてゴール(数値化目標)が遠いので、小さな目標(言語化目標)を設定しましょうってことだと理解した。

中間管理職ブロック

  • トップと現場の思いは一致しており、社長も若手写真も改善をしたい。しかし、それを中間管理職が邪魔をする
    中間管理職にとっては、業務改善をしても部署も自分も評価されない現実があるため、それよりも成功パターンを知っていて、確実に評価される通常業務に集中した方が、遥かに効率が良いと考える
    → なるほど。中間管理職の業務を見直さないと、味方になってくれない。

  • 業務時間の○%を改善業務に充てるなど制度を見直すだけでは、改善したフリをするような改善ごっこが蔓延するので、必ず自分たちの問題解決になる、もしくは成長につながるテーマ設定が必要
    → 人事部門だけでは絶対に上手くいかないってこと。

  • 中間管理職は働き方改革に限らず、イノベーションやらDXやら流行り言葉に翻弄され、業務負荷が増える一方なので、やらない業務を決めることで中間管理職の業務負荷軽減が必須
    → これは盲点だった。良い意味でサボれるところはサボるべき。

  • あえて中間管理職を外した改善Pjを立ち上げるのも手であり、その場合は評価も中間管理職でなく、トップが行う。
    → これいいかも。たしかにこの方法で、前職で顧客に価値を上手く訴求できている商品があった。でも、中間管理職のケアが必要そう。

ソリューションありき

  • ソリューションという流行り言葉によって、導入すればすぐに問題が解決するように思えるがそれは大きな間違い
    まず業務棚卸表やECRSなどを用いて、今の業務を整理してから導入する
    また、導入するだけでは不十分で、その先にある定着を怠ると、そもそも効果測定ができない
    → 大体上手くいかないときは、そもそも困りごとがなにかはっきりしていない、とにかくシステムや仕組みを導入したらあとは勝手にできると思っている人がとても多いですね。

  • 業務棚卸表はイレギュラーな業務を含めると細分化しすぎてしまうので、標準業務だけに絞ること。また、ざっくりの精度で十分
    生真面目な人がやるとすべて網羅しようとして、項目が異常に多くなり、入力負荷が膨大になっちゃいます。

  • ECRSというフレームワークを使って業務の整理整頓や取捨選択を行う

    • E:Eliminate|廃止
      業務自体を廃止できないかを検討する。
      例えば、書類の押印や定例会など、その業務の目的をよく吟味することが大事。業務の廃止は最も改善効果が大きく、最もコストが掛からない施策である。
    • C:Combine|結合
      業務を同時にできないかを検討する。
      例えば、バラバラに管理しているものを一緒にしたり、複数の会議を同時に行うなど。
    • R:Rearrange|入れ替えと代替
      業務の手順や担当を替えられないかを検討する。
      例えば、ある業務を前工程や後工程に任せたり、マニュアルを作って別の誰かに任せたりして、全体の効率化を図る。
    • S:Simplify|単純化
      もっと簡単にできないかを検討する。
      ここで初めて、システム化や自動化などのいわゆるソリューションを検討する。
  • 導入を決めてあとは現場任せ、では絶対に成功しない
    定期的に活用状況を把握し、トップからの声掛けが重要
    → これが完全にわかってない上位層が多すぎる。昔は言われたことを黙々とこなすことこそが仕事だと教えられていて、それを未だに信じ続けているとしか思えないけど、どうなんだろう。ずっと失敗しているんだから、そろそろ気付いてもよいはず。

  • 導入して定着後の効果測定の方法は事前に決めておく。QCDなど定量的な評価はもちろん、定性的な評価も項目としてあげておく
    → 結局、業務改善しようとトリガーになるのは、この仕事めんどくさいとかやりたくないとか負の感情であり、それは定性的な評価でしか効果測定できないのでは、と最近思う。

抵抗勢力

  • 業務改善に非協力的である「モンスター」は、実は誰よりも現状に不満を持っているが、現状を維持しようとするのは、今よりも期待値の高い状態を知らないからである
    モンスターを味方につけるために、現状維持が損をし、業務改善をして変化するほうが得である、という考え方を変えてもらえるような情報を与え続けるのがよい
    例えば、同業者他社の職場見学や、内勤職が外勤職の業務に同行するなど、視野を広げる施策が効果的
    → 大事なのは、モンスターだからといって放置も良くない。うまくいけば強力な味方になってもらえる。

  • 仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまでに膨張する、というパーキンソンの第一法則があり、例えば不必要にスライドを美しく仕立ててしまう
    → これは覚えがあるw

  • ミスが起きても人を責めてはいけない、仕組みを疑うこと
    → これ大事。個人を責めがち。悪いのは人ではなく、その仕組み。

  • いつどんなタイミングでモンスターが出現するかわからないので、嫌な予感がしたときにモンスターマッピングでステークホルダーを整理するのがよい
    縦軸を影響度、横軸を関心度にして、ざっくり把握する
    → 途中でうまくいかないなと思ったときに、実施するとだれがボトルネックになっているかわかるかも。

三日坊主で続かない

  • 業務改善に関わるメンバ間の情報格差を作らないことが大切
    → これは一番下っ端の人にはよくわかる。きちんと情報共有しないと、活動していないように見える。

  • 議事録を作るときは、あいまいな言葉を使わないこと
    → これは改善活動に関わらず、すべての議事録に通じる。「情報共有」なのか、「意思決定」なのか、「相談」なのか、はっきりさせたい。また、宿題事項があれば、「だれ」が、「いつまで」に、「なにをする」のか、を具体的に記録する。

おわりに

本を読んで、今の自分に刺さる文言を整理しました。殴り書きに近いですが、これやるだけでもだいぶ勉強になった気がします。

もし、気になるワードなどがあれば、ぜひ買って読んでみてください。

参考になれば幸いです(^^)


  1. 書籍には付録で問題地図がありましたが、私には読みにくかった^^;